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無効にならない借用書の書き方!金銭トラブル防止に借用書は必須

無効にならない借用書の書き方!金銭トラブル防止に借用書は必須

お金の貸し借りはトラブルにつながる可能性が高いです。借金を頼まれたら、トラブル回避のため、口約束はやめ、必ずお金の貸し借りを書面で証明するための借用書を作ってもらいましょう。

借用書がないと「借金の額はもっと少ないはず」とか「いつまでに返せなんて言われてない」と主張され、なかなか借金が返済されないことにもなりかねません。

特に親戚に貸した場合は、返済期日を定めた借用書がないと「譲渡(お金を貸したのではなく、あげた)」とみなされることもあります。

借用書の効果、盛り込むべきポイント、裁判になったときに証拠として認められるための注意点をご紹介します。

なぜ借用書をつくるべきなの?借用書の種類と効果

友達や親戚に「お金を貸して欲しい」と借金を頼まれたとき、「親しい間柄なのでわざわざ借用書を作ってもらうのは気がひける」と考える人は多いです。

しかし、あげてもいいお金でなければ、いくらからでも借用書は作るべき。友達や親戚に借金を頼んでくる人は借金慣れしていて、返済をごまかし慣れていることも多いからです。

「貸しただろ」「いや、くれたじゃん」とか「1年経っても返さないのは非常識だろ」「いつまでに返せなんて言われてないし」などというトラブルを防ぐために借用書は欠かせません。

借用書とは借金があることを証明する書類

借用書とは、貸主(お金の貸し手、債権者)と借主(お金の借り手、債務者)の間にお金の貸し借りがあったことを証明する書類です。お金が貸主から借主へ渡ると同時に、借用書が借主から貸主へ提出されます。

借用書イメージ

お金の貸し借りは口約束でも成立しますので、借用書がなくても返済の義務はあります。しかし、返済期日や利子についてのトラブルを防ぐために借用書を作成する必要があります。

借用書には3つの種類がある

借用書と簡単に呼びますが、実はいくつかの種類があります。まずは種類から見てみましょう。

普段、借用書と呼ばれるものには「借用書」と「金銭消費賃借契約書」があります。

どちらも効果は同じですし、金銭消費賃借契約書を便宜上借用書と呼ぶこともありますが、作り方や向いているシチュエーションに違いがあります。

違い 借用書 金銭消費賃借契約書
作り方 借主が1通作って署名し、貸主が保管(コピーを借主へ) 借主と貸主が共同で2通作って署名し、お互いが1通ずつ保管
特徴 収入印紙が1通分で済む 収入印紙が2通分必要、共同で作るので連絡が面倒
向いている場合 なるべく簡単に済ませたい 利子をとる、分割返済をするなどの細かい決まりがある

金銭消費賃借契約書は借主と貸主それぞれが原本を保管するので、高額な借金や、利子や返済方法に細かいルールを設けた場合には金銭消費賃借契約書が向いています。

なお借用書や金銭消費賃借契約書はお金の受け渡しと同時に作りますが、過去に貸したお金について、貸した内容やいつまでに返すのかを示した書類もあり、これは「債務承認弁済契約書」といいます。

借用書 お金の貸し借りの事実や返済のルールを記す書類。借主がつくって貸主が保管。
金銭消費賃借契約書 お金の貸し借りの事実や返済のルールを記す書類。借主・貸主が一緒につくって1通ずつ保管。
債務承認弁済契約書 過去のお金の貸し借りについて、事実確認や返済のルールを記す書類。借主・貸主が一緒につくって1通ずつ保管。

私文書と公文書の違い!借用書には2つのレベルがある

次に借用書の法的効力のレベルについて説明します。

どんな書類も、個人が作った「私文書」と、公的機関や公務員が仕事で作った「公文書」にわかれます。

借用書や金銭消費賃借契約書も自分で作ったものは私文書ですが、公証人に金銭消費賃借契約公正証書として作ってもらうと公文書です。

公正証書※は強い法的効力を持つ書類で、借主からの返済が滞った時には裁判なしに借金を回収できます。

一方、自分で作った借用書、金銭消費賃借契約書、債務承認弁済契約書の場合は、裁判をして借主に返済を求めることになります。

自分で作った借用書等 催促しても返済してくれない相手に返済を求めるには裁判が必要
公正証書 裁判なしで借金を回収(強制執行)できる
公正証書とは

公証役場で公証人に作成してもらう書類。強い法的効力を持ちます。公証役場は全国に設置されていて、公証人は検察官経験者や裁判官経験者が務めます。

自作の借用書に法的拘束力はないが、裁判の証拠になる

自分で作った借用書(私文書)には、「借用書だけで借主の財産を差し押さえて、強制的に借金を回収できる」という法的な力はありません。

借用書だけで借金を回収(差押)できないので、催促しても返済してくれずどうにもならないときは、裁判をする必要があります。

「じゃあ、借用書なんて作る意味ないじゃん」と思うかもしれませんが、そうでもありません。借用書にはこんな効果があります。

  • 貸した後の双方の認識の違い(返済期日など)を防いで、トラブルを回避
  • 借主に見せて催促するときの材料になる
  • 返済が滞り裁判になったとき、貸し借りの証拠になる

「借用書だけで借金の回収はできないけど、裁判を起こした時の証拠になる」ということです。

公正証書を作るには費用もかかるので、「貸し借りがあることを記録に残しておきたいだけ」とか「ちゃんと返済してくれるはずだけど、念のため証拠は残しておきたい」という人なら、公正証書ではなく自作の借用書で十分でしょう。

借用書ってそれだけですぐ借金を回収できるものじゃないんだね。意外!
ええ、法的拘束力を持たせたいなら、公証役場で公正証書という書類を作る必要があるのよ。公正証書の作り方や使い方は、あとで説明するわね。

友人同士の借金で使えるシンプルな借用書の書き方

友人や親戚との貸し借りで、相手を信頼しており、念のためお金を貸し借りしたという簡単な書面を残したいだけなら自作の借用書で十分です。

ただ簡単につくるといっても、ポイントはおさえないと無効な借用書になります。例えば、返済期日を入れておかないと、「借金じゃなくて譲渡だ」と裁判で判断される可能性もあります。

借用書を書くときのポイントと、テンプレートを紹介します。

借用書に入れるべき9項目

できるだけ簡単に済ませたい場合、シンプルな借用書に入れる項目はこちらです。利子なし、連帯保証人なしの場合を想定しています。

  • 書面のタイトル(借用書)
  • 貸主の氏名
  • 借主が金銭を受領した日付
  • 借りた金額
  • 借主が金銭を受領した旨の明記
  • 返済方法、期日
  • 借用書の作成日
  • 借主の住所氏名を住所(手書きのうえ、押印)
  • 借金の額が1万円以上なら収入印紙を貼る

借用書は原則として借主が作って貸主に提出しますが、貸主が雛形を作って、借主に確認の上署名してもらっても構いません。

借用書のひな形は司法書士事務所などが公開しているものを使う

借用書のテンプレート(ひな形)は司法書士事務所や行政書士事務所で公開されているものがありますので、参考にしてください。

テンプレートを取得する際は、信頼できる提供元が作っていて、自分たちの貸し借りの実態に合っているものを選びましょう。

借用書のポイント1:借主が金銭を受領した日付

では、それぞれの項目について知っておくべき注意点を見ていきましょう。書面のタイトル、貸主の氏名は問題ありませんね。

借主が金銭を受領した日付=借用書の作成日になるのが原則です。金銭の受け渡し日が過去の場合は、債務承認弁済契約書を作ることになるので、後ほど説明します。

貸し借りした日を確実に記録に残しておくほうがいいので、できるだけ振込など記録が残る方法で貸しましょう。

表記は和暦でも西暦でも構いませんが、和暦のほうが一般的です。どちらにしても、表記は統一してください。

借用書のポイント2:金額は漢数字で書く

金額は全て漢数字で書いてください。普段使っているアラビア数字(1、2、3など)だと、線を書き足したりして金額を簡単に変えることができるからです。

「貸主が保管中に金額を書き足した」という疑いを持たれないようにするのが大事です。

「金○○円」と書く場合、「金」と、金額の漢数字の間は開けないようにしましょう。隙間に書き足すことができると思われてはいけないからです。

10万円貸す場合は、「拾萬」の前に「壱」をつけて「壱拾萬円」と書きます。「拾萬」だけだと、その前に弐(2)でも参(3)でも書き足すことができると思われてしまいます。

  • 一→壱
  • ニ→弐
  • 三→参
  • 五→五でもいいが伍も使う
  • 十→拾
  • 百→百でもいいが、陌、佰も使う
  • 千→千でもいいが、阡、仟も使う
  • 万→萬
  • 10万円→壱拾萬円

借用書のポイント3:返済期日は必須

返済方法は、定めがない場合には持参になります。銀行振込で返済して欲しいなら、銀行名や口座番号も書いておきましょう。

期日は「○ヶ月以内」ではなく、日付を書きます。

親戚同士で貸し借りする場合、返済期日を定めていないと、借用書があっても借金ではなく贈与とみなされることもありますから特に注意が必要です。

何回かにわけて返済してもらう分割返済のときは、以下の内容を決めて書いておきます。

  • 1回あたりの返済額
  • 具体的な返済の期日(毎月末日など)
  • 最終的な返済期限
  • 返済の間隔
  • 合計の返済回数

借用書のポイント4:署名で偽造の疑いをなくす

借用書の信頼性を高めるため、氏名と住所は借主に自筆してもらいます。裁判になって証拠として提出するときには、借用書が本物かどうかが問題になるためです。住所と名前が自筆なら本物だと証明しやすいですよね。

全部ワープロ書きで自署がないと「貸主が偽造したのではないか」と疑われる可能性があります。

印鑑は認印でも構いませんが、確実性を高めるたいなら実印と印鑑証明※をもらってください。

文字と重なると印影が不鮮明になるので、署名と重ならないように、押印する場所にも注意が必要です。

実印と印鑑証明とは

実印は自治体に印鑑登録している印鑑のことで、フルネームでオリジナルの印鑑を作って登録するのが一般的です。印鑑証明は実印であることを証明する書類で、実印が登録されている自治体が発行してくれます。

借用書のポイント5:金額に応じた収入印紙を貼る

手形、定款、保険証券、不動産売買の契約書などの課税文書には収入印紙をはると決まっています。借用書や金銭消費賃借契約書も、貸し借りする金額(契約金額)が1万円以上なら収入印紙を貼ります。

収入印紙は商工会議所や郵便局、コンビニ、金券ショップなどで買うことができます。ただしコンビニは少額の収入印紙しか置いていない場合が多いです。金券ショップでは少し安く買うことができますが、品揃えにムラがあります。

収入印紙を貼っていない場合でも借用書として証拠にはなりますが、裁判になったときなどに収入印紙を貼っていないことが発覚したら、印紙代を3倍払う必要があります。

1~1,000万円の借用書に必要な収入印紙の額をまとめました。印紙代は通常は借主が負担します。

記載金額 収入印紙の額
1万円未満 非課税(はらなくていい)
1万円以上10万円以下 200円
10万円超50万円以下 400円
50万円超100万円以下 1,000円
100万円超500万円以下 2,000円
500万円超1,000万円以下 1万円
参照元:国税庁
ねぇねぇ、文房具屋さんで借用書の書式が売ってたんだけど、これでもいいの?
返済を分割にするかとか銀行振込にするのかとか、決めたことがちゃんと盛り込めるなら、市販の書式でも構わないわ。実際には、ピタリとあてはまるものはあんまりないと思うけどね。

利息や分割返済をするなら金銭消費賃借契約書を作ろう

返済ルールについて細かいルールを決めた場合や貸し借りの金額が大きい場合は、貸主と借主が共同で作ってそれぞれが保管する金銭消費賃借契約書を作ることをおすすめします。

もちろん、先ほど紹介した簡単な借用書程度の内容でも、貸主と借主が2人で署名していれば金銭消費賃借契約書になります。

しかし一般的には、金銭消費賃借契約書と名付けたものを作るのは、利子や返済方法について細かい取り決めがある場合で、そのためボリュームがある契約書になる場合が多いようです。

金銭消費賃借契約書に入れるべき11項目

金銭消費賃借契約書にはこのような内容を記載します。借用書と共通する部分もありますし、公正証書の合意メモともほとんど重複しますね。

  • 書面のタイトル(金銭消費賃借契約書)
  • 借主が金銭を受領した日付
  • 貸し借りした金額
  • 借主が金銭を受領した旨の明記
  • 返済方法、返済期日
  • 利息の有無、利率、支払い方法
  • 遅延損害金(返済が遅れた時に支払うペナルティ)の有無や利率
  • 期限の利益喪失の条件(残金を即返済しないといけなくなる条件)
  • 契約書の作成日
  • 貸主および借主、連帯保証人(いる場合)の住所氏名(それぞれ手書きのうえ、押印)
  • 1万円以上なら収入印紙を貼る

金銭消費賃借契約書のテンプレート(ひな形)

金銭消費賃借契約書のテンプレート(ひな形)も、司法書士事務所や行政書士事務所のサイトで公開されています。

利息についての記載など、複雑でわかりにくいこともあるので、しっかりしたものを作りたいなら、行政書士や司法書士に作成を依頼しましょう。10,000~30,000円くらいで作成可能です。

作成にかかる費用の負担割合について決まりはありませんが、通常は借主が負担します。

では、借用書のところではでてこなかった、利息や遅延損害金の取扱や、期限の利益の喪失条件について詳しく解説します。

金銭消費賃借契約書のポイント1:利息の支払方法を決める

個人間のお金の貸し借りだと、特に定めがない場合には無利息になると決まっています。

利息をもらいたいなら、契約書にしっかりと利率や支払方法(元金と一緒に払うのかどうか)を記載しておきましょう。

個人間の貸し借りでも、利息制限法という法律で、利率の上限(上限金利)は決まっています。上限におさまるように設定してください。

元金(貸した額) 上限金利
10万円未満 年率20%
10万円以上100万円未満 年率18%
100万円以上 年率15%

利息の支払い方法には元金均等払いと元利均等払いがあり、利息が大きくなる元利均等方式を使うことが多いです。

具体的に利息を計算する場合には、こちらのサイトがおすすめです。

参考:カシオ

金銭消費賃借契約書のポイント2:遅延損害金の扱いを決める

遅延損害金は、返済が遅れた時にペナルティーとして支払う追加の利息のことで、返済期日の翌日から発生します。

利息と違って、契約書で取り決めがない場合にも遅延損害金はとることができます。遅延損害金についての取り決めがない場合、利息の利率をいくらにしているかで利率が違うので、表を参考にしてください。この利率は民法404条と419条の条文に基づいています。

利息の利率 遅延損害金の利率
年率5%超 利息と同じ利率
年率5%以下 年率5%
利息の利率を決めていない 年率5%

遅延損害金について決めておく場合には、利息と同じく上限があるので、その範囲に収まるようにしましょう。個人間の場合、遅延損害金の利率(遅延損害率)の上限は、利息の上限の1.46倍までと利息制限法で決まっています。

元金 遅延損害金
利率上限
10万円未満 年率29.2%
10万円以上100万円未満 年率26.28%
100万円以上 年率21.9%

貸金業者(消費者金融)などだと、遅延損害率は20%が上限ですが、個人だとそれ以上の設定ができます。

金銭消費賃借契約書のポイント3:即返済を求める条件を決める

「期限の利益」とは、「借主がお金を借りていられる期限までは、お金を返さなくてもいい」ということです。期限の利益を喪失すれば、借主は残金を即返済する義務を負います。

期限の利益の喪失について決めておけば、下のような取り決めができます。

  • 分割払いで返済が遅れたときには、残金を一括で即返済する
  • 他のところから借金したら、残金を一括で返済する

期限の利益の喪失の条件の一例をまとめておきます。

  • 返済が遅れた(「2回遅れたら期限の利益を喪失」などと決めておく)
  • 借主が強制執行(財産や給料の差し押さえ)などを受けた
  • 借主や破産や民事再生の申し立てを受けた
  • 借主の手形や小切手が不渡りになった
  • 借主が税金を滞納した
  • 借主が貸主に連絡なく引っ越した
  • 借主が他のところから追加で借金した
遅延損害金って、上限を30%近くに設定できるんだね。ガメつい友達に借りた時は、返すのが遅れないように気をつけなきゃ。
こら、誰に借りても遅れちゃダメでしょ。ちなみに、カードローンだったら遅延損害金は年率20%が上限なの。個人の方が高い遅延損害金利率を設定できるのよ。

債務承認弁済契約書は過去に貸した借金についての借用書

お金を貸した時には借用書や金銭消費賃借契約書を作っていなかったものの、なかなか返済してもらえないので、今からでも、貸した内容やいつまでに返すのかがわかる書類をつくっておきたい人も多いでしょう。

過去にお金を貸し借りしている場合、債務承認弁済契約書という書類を作ります。

この書類は、簡単に言うと「過去の○月○日にお金を借りて、書類を作った時点での残高はいくら(今までにいくら返したか)で、それを○月○日までに、こんな返済方法で返します」という文言になります。

債務承認弁済契約書に盛り込むべき11項目

債務承認弁済契約書にはこのような内容を記載します。金銭消費賃借契約書と重複するところもありますが、お金を貸したのが過去になるのが大きく違います。

  • 書面のタイトル(債務承認弁済契約書)
  • お金を貸した日または借金があることを確認した日
  • 借主がお金を借りていることを確認したという文言
  • 現在確認できる借金の額
  • 返済方法、返済期日
  • 利息の有無、利率、支払い方法
  • 遅延損害金(返済が遅れた時に支払うペナルティ)の有無や利率
  • 借主と貸主の間に他の債券債務がないこと
  • 期限の利益喪失の条件(残金を即返済しないといけなくなる条件)
  • 契約書の作成日
  • 貸主および借主、連帯保証人(いる場合)の住所氏名を住所(それぞれ手書きのうえ、押印)

無料ひな型があるが専門家に作成を依頼するのがおすすめ

債務承認弁済契約書のテンプレート(ひな形)も、借用書などと同様に、司法書士事務所や行政書士事務所のサイトで公開されています。

ただ、記憶が曖昧な場合の書き方など、難しいことも多いです。それに、債務承認弁済契約書を作りたい場合って、過去の借金を相手がなかなか返済してくれなくて困ってるときですよね。

不備のないものを作って公正証書にするのがいいので、司法書士や行政書士に作ってもらうのがおすすめです。内容にもよりますが、10,000~30,000円くらいで作ってくれるところがほとんどですよ。

債務承認弁済契約書のポイント:貸した日がわからない場合

貸してからかなり時間が経っている場合、貸した日を思い出すのもひと苦労です。振込で貸していれば、通帳やネットバンキングで一目瞭然ですが、手渡しの場合は記憶だけが頼りです。

しかし、曖昧な記憶を元に契約書を作ってしまうと、「その日は海外旅行中だったので借りられるわけがない」などど反論されて、契約書としての信ぴょう性が疑われかねません。

どうしても貸した日が思い出せないなら、「○年○月~○月にかけて(○回にわけて)借り、○月○日(契約書作成日)に○円の債務が残っていることを確認した」と書きましょう。

昔のことすぎて、いつごろからいつごろまで貸したかすら覚えてない場合もあるよね?そんなときはどうしたらいいの?
まずは通帳や家計簿などの記録を調べてみて。どうしてもわからないなら、貸した日付は入れずに、単に「契約書作成日時点でいくら借金があること確認した」という書式もあるわよ。

強力な公文書!公正証書なら裁判なしで強制執行が可能

借用書や金銭消費賃借契約書、債務承認弁済契約書は、借金を回収できる法的拘束力は持ちません。催促しても全然返してくれないなら、裁判を起こすしかありません。

でも、契約書を公正証書にしておけば、裁判をする手間が省けます。

金銭消費賃借契約書(借用書)を公正証書にすると、借主が約束通りに返済してくれない場合には、裁判なしで強制執行(財産の差押)ができます。

書類を公証役場で保管してくれるので、引越のときに借用書をなくしてしまうとか、火事で焼けてしまう心配もありません。公正証書を作ることで、借主に「ちゃんと返さないと」と思ってもらえる効果もあります。

踏み倒されそうな相手なら、法的拘束力がある公正証書を作る

お金をちゃんと返してくれるか不安な相手に貸さざるを得ない場合には、執行認諾約款つきの公正証書を作りましょう。

執行認諾約款とは、債務者が支払いを怠った場合、強制執行(給料や財産の差し押さえ)を受けることを了承している旨の文言です。

この執行認諾約款をつけないと、裁判なしでの強制執行ができないので注意してください。

公正証書作成の事前準備と必要書類

公正証書は公証役場で作ってもらいますが、事前準備として、貸主と借主が最低限いくつかの項目について合意しておく必要があります。

東京の京橋公証役場では、合意内容を記載したメモには以下の項目が必要だとしています。すでに金銭消費賃借契約書を作っているなら、メモの代わりになります。

  • 貸主(債権者)の氏名
  • 借主(債務者)の氏名
  • 連帯保証人の氏名(いる場合)
  • 貸した金額
  • お金を貸した日
  • 返済方法、返済期日
  • 利息の有無、利率、支払い方法
  • 遅延損害金(返済が遅れた時に支払うペナルティ)の有無や利率
  • 期限の利益喪失の条件(残金を即返済しないといけなくなる条件)
  • 強制執行認諾文言の記載有無

内容に不備がないか不安なら、公証役場に電話で問い合わせてください。公正証書作成に関しての相談は無料で受け付けてくれます。自分で手続きするのが面倒なら、行政書士などに依頼する方法もあります。

メモと一緒に持参する書類はこうなっています。当事者本人ではなくて代理人が出向く場合は委任状も必要です。

  • 印鑑証明書
  • 運転免許証などの写真付き身分証明書

なお、公正証書作成には手数料がかかります。手数料は全国一律です。

貸付額 手数料
100万円まで 5,000円
200万円まで 7,000円
500万円まで 11,000円
1,000万円まで 17,000円
3,000万円まで 23,000円
5,000万円まで 29,000円
1億円まで 43,000円

公正証書の作り方!当事者全員で公証役場に出向く必要あり

公証役場での手続き方法や書類の提出方法は、個々の役場によってほんの少し異なっています。

ここでは京橋公証役場を例に説明しますが、実際に利用する公証役場のサイトを見るか、電話で問い合わせるなどしてくださいね。

(1)金銭消費賃借契約書がある場合は契約書と印鑑証明書・身分証明書を公証役場にメールかFAXする。金銭消費賃借契約書がない場合は、合意メモと必要書類を役場に持参する。

(2)公証人が公正証書の原案を作成してメールかFAX で送付してくれるので、内容を確認する。

(3)日程調整(平日の日中)のうえ、貸主、借主、連帯保証人(いる場合)が揃って公証役場に行き、署名・捺印を行う。

メモ(または契約書)を送付した後、メモではわからないことを聞き取りしたいなど、面談の必要があると判断されれば、公証役場に呼び出されて公証人と面談することもあります。

お金の貸し借りに関する公正証書は、どこの公証役場でも作成できますから、貸主、借主、連帯保証人みんなが出向きやすい公証役場を選びましょう。

公証役場の所在地は、日本公証人連合会のWEBサイトで確認してください。

公正証書を使った強制執行の手順

公正証書を作った後、借主からの返済が滞ってしまった場合には、裁判所に公正証書をもとに強制執行を申し立てることになります。具体的は流れはこのようになっています。

(1)公正証書を作った公証役場から、公正証書を債務者と連帯保証人に送ってもらう(送達の申し立て)

(2)公正証書を作成した公証人から、「強制執行ができる」という証明をもらう(執行文付与の申し立て)

(3)公証役場でもらった送達証明書、執行文が付与された公正証書と、戸籍謄本、申立書を揃えて裁判所に強制執行を申し立てる

借主の給料を差し押さえることが多いと思いますが、その場合には借主の住所を管轄する裁判所に申し立てをします。裁判所から借主の会社に差押命令が出て、会社が借主の給料を差し押さえます。

公正証書ってすごい強力なんだね!公正証書さえ作ってしまえば、お金にルーズな友達に貸す時でも安心!
ただ公正証書を作っても、相手に差し押さえる財産や給料がない場合には借金は回収できないわ。借主がどこから給料を得ているとか、どんな財産を持っているかも、貸主が調べる必要があるの。

借用書を書くときの注意点と、借金の契約ができない人

借用書や契約書を作るときには、上で紹介した以外にもいくつか注意点があります。

これを怠ると、裁判で証拠として出しても、「無効」と言われてしまうので注意してください。確実に無効になるのはこの3つです。

  • 公序良俗に反する文言が入っている
  • 片方に著しく不利
  • 制限行為能力者との契約

非常識な「借金が返せなければ内臓を売れ」は当然無効

犯罪や非常識なことを書いてある場合には無効になります。

例えば、「借金返せなくなったら内臓を売る」「体で払え」や「家に火をつけてやる」など常識的に考えておかしいことは不可です。

借主に著しく不利な契約は無効になってしまう

「契約書にない取り決めは、全部貸主の言うとおりにする」など、借主にとって一方的に不利な文言が入っていると無効になります。

貸主としては「借りてるんだから、おとなしくこっちの言うことを聞けよ」と思うかもしれませんが、このような書き方はNGです。

取り決めのない内容について契約書に書く場合、「本契約書に定めのない事項については債務者と債権者が協議のうえ、これを定めるものとする」などが一般的です。

未成年や被保佐人など制限行為能力者との契約は無効

制限行為能力者との契約は無効になることにも注意が必要です。

制限行為能力者とは、借金の契約などの法律行為を行う能力が制限されている人のことです。具体的には次の人たちです。

  • 未成年者
  • 成年被後見人:成年後見人が財産管理などを行う
  • 被保佐人:借金の契約など、財産上の重要な法律行為については、保佐人の同意が必要
  • 被補助人:特定の法律行為について、補助人の同意または代理が必要(特定行為の範囲は、被補助人によって異なる)

未成年はわかりやすいですね。「子どもには十分な判断能力がないから、借金の契約なんてできない」というわけです。

成年被後見人、被保佐人、被補助人は、成人しているものの、認知症や精神上の障害などがあって、十分な判断能力がない人たちです。

判断能力の程度によって、名称がわかれています。この人達にお金を貸す時には、保佐人や補助人の同意が必要になります。

ギャンブル依存症や買物依存症の人が被保佐人になっていることも多いです。相手が制限行為能力者ではないか、お金を貸す前に本人に確認しましょう。

借用書を作る時、他に何か気をつけなきゃいけないことってあるのー?
当然だけど、鉛筆書きやシャチハタ印だと消えてしまうからダメ。フリクションボールなど、熱で消えるペンも使わないでね。感熱紙もNGよ。

親しき仲にも借用書あり!トラブルを防ぐ借用書の効果

親しい友人や親戚であっても、高額なお金の貸し借りをするときには借用書をつくっておきましょう。自作の借用書であっても、借主と貸主の認識のズレを防ぎ、トラブルを防止するのに有効です。

借用書はポイントさえおさえておけば、自分でも作ることが可能です。借主が返済してくれないときには催促や裁判の証拠として使えます。

より強力な書類を作りたいなら、執行認諾がついた公正証書を作ってください。

「借用書を作ってくれ」と頼んだ時に借主が拒否したら、その人には貸してはいけません。「貸すなら、借用書は譲れない条件だ」と言い切りましょう。

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