お金の勉強

奨学金を返せない人の対処法と奨学金返還の実態

奨学金を返せない人の対処法と奨学金返還の実態

多くの人が活用している奨学金ですが、卒業後は返済をしていかなければなりません。

しかし昨今の不況から、奨学金を返済できない延滞者が増えているのが現状。なかなか正社員としての働き口が見つからないことや、給料が上がらない人が多いことがその理由です。

奨学金を返済できない場合、消費者金融からの借り入れなどと同様に、延滞金を上乗せされます。

さらに連帯保証人となっている身内にも返済の督促の電話が入り、それでも返済が滞った場合は、財産が差し押さえられてしまうケースもあるんです。

当記事では、奨学金を返せないときの正しい対処法を解説します。毎月の奨学金の返済に追われている人も、救済制度を知っていれば毎月の生活の不安も解消されますよ。

奨学金が返せない人に知ってほしい3つの対処法

奨学金がどうしても返せない場合、どうしたらいいのでしょうか。「返済期限を延ばしたり、減額できたらいいのに」と思っている人に朗報です。

奨学金には返済できない人のために、返済の猶予制度があります。

また、それでも返済ができない場合には「債務整理」という方法もあることを覚えておきましょう。

奨学金が返せないときの対処法一覧
対処法 内容
返還期限猶予制度 一定期間、返済期限を延期する
減額返還制度 月々の返還額を減らす
債務整理 弁護士など専門家に債権者との交渉を依頼し、利息軽減や過払い金請求などを行う
日本学生支援機構の奨学金制度を利用している場合は「返還期限猶予制度」と「減額返還制度」によって、返還の負担を軽減することができます。

それでも奨学金を返せない場合は、最終手段として債務整理も検討してください。

次の章から、それぞれの制度について詳しく説明します。

返還期限猶予なら経済状況に応じて返済猶予してもらえる

返還期限猶予は、災害や病気、失業などで経済困難に陥った場合に、一定期間返済期限を延期する制度です。

返還する元金や利息が免除または減額されるものではありませんが、経済状況に応じて最大で通算10年間、返済を猶予(引き延ばし)してもらえます。

この制度を活用すれば、一定期間返済できなくなってしまってもブラックリストに名前が載ったり、督促が来たりすることもありません。また返済猶予してもらった期間について、利息がつくこともなく安心です。

ただし返還期限猶予は、誰でも受けられるわけではありません。条件の目安は次の通りです。

返還期限猶予を受ける条件
  • 年収が300万円以下であること(自営業者の場合200万円以下)
  • 願い出の時点で延滞していないこと

特に注意して欲しいのが、「願い出の時点で延滞していないこと」。

延滞してしまってからでは、返還期限猶予は受けることができません。

猶予を受けるためには、日本学生支援機構に猶予願の提出が必須。しかし猶予願は、返還期限猶予を希望する月の前々月末までに提出が必要です。

返還期限猶予願には、次の点を明記しておきましょう。

返還期限猶予制度願に記載する内容
  1. 収入に対して支出が多く、奨学金の返済が難しい状況であること
  2. 減額申請が通れば安定してきちんと返還できること

猶予願の審査は1~1.5ヶ月程度かかり、その後返還猶予が承認もしくは否認されます。「返済が滞りそう・・・」と思ったら、急いで返還期限猶予願を手配しましょう。

減額返還制度で毎月の返済額を減らす

減額返還制度は、奨学金を借りる時に設定した月々の返済額を一定期間(最大10年間)半分に減らし、その分返済期間を延ばしてもらう制度です。

返済期間は延長されますが、利息は国庫が負担してくれるため、返済総額は変わりません。

ただし減額返還制度には、次のような条件があります。

減額返還制度を受ける条件
  • 年収が300万円以下であること※
  • 願い出の時点で延滞していないこと
  • 奨学金返済に本人名義の引き落とし口座(リレー口座)が設定されていること
  • 月払いで返済していること
※自営業者の場合200万円以下

1つめと2つめの条件は、返還期限猶予の場合と同じですね。

3つめについては、奨学金の返還を本人名義の口座から自動的に引き落とされるよう設定していることが条件。

「リレー口座」とは、奨学金の返還に設定している口座のことで、「返還金が後輩奨学生の奨学金としてリレーされる」という意味です。

現時点で奨学金返済額が毎月口座から引き落とされている場合は、条件を満たしていると判断されます。

もし、リレー口座を設定していない場合でも、リレー口座手続きの終了後に奨学金減額返還願を出せばOKです。

もし現在月払い以外の方法で返還していても、減額返還の承認により自動的に月払いでの返還方法に変更されます。

減額返還願には返還期限猶予願と同様に、次の点を明記しましょう。

  • 収入に対して支出が多く、奨学金の返済が難しい状況であること
  • 減額申請が通れば安定してきちんと返還できること

最終手段は債務整理!ただし連帯保証人に請求が回る

返還期限猶予制度や減額返還制度を利用しても奨学金を返せない人もいるよね。

それに、こういう制度を利用できずに困る人もいるんじゃないかなぁ・・・。

どうしても奨学金を返せない場合は、任意生理や自己破産など「債務整理」を行うことも考えてみて。

債務整理の種類や内容は、次のとおりです。

債務整理の種類と内容
任意整理 ・弁護士や司法書士に返済方法や返済額について、支払可能な条件になるよう交渉してもらう方法。
・不法な高金利での借り入れがある場合は、過払い金の精算も可能。
特定調停 ・簡易裁判所に間に入ってもらい、債権者(借りた側)と債務者(貸した側)で返済方法や返済額について、今後の条件を話し合う方法。
・弁護士や司法書士などの専門家ではなく自分で交渉しなければならない。
個人再生 ・裁判所に申し立てて、債務(借金)を大幅に免責してもらい、長期の分割払いにしてもらう方法。
・将来の収入が見込めず、返済できない人は手続きできない。
・住所や氏名が官報に掲載されてしまう。
自己破産 ・裁判所に申し立てて、全ての借金をゼロにする方法。
・「支払い不能」と裁判所に判断された場合にのみ自己破産できる。
・財産の差し押さえがされる。
・住所や氏名が官報に掲載され、一定期間の職業制限もある。

個人再生や自己破産で奨学金返済について免責(=返済免除)されると、延滞者本人については今後の返済は不要です。

ただし自己破産して本人の免責が認められても、返済がチャラになったわけではなく、連帯保証人が代わりに返済義務を負うことになります。

奨学金を借りたら、両親や身内が連帯保証人になっている場合がほとんどですよね。

連帯保証人になってくれた身内も返済できない場合、その人まで債務整理をしなければならなくなってしまう可能性もあり、そうなれば多大な迷惑をかけることになってしまうでしょう。

当サイトには自己破産したらどうなってしまうのか詳しく解説している記事もありますので、ぜひ読んでみてくださいね。

他にも借金を抱えていて奨学金の返済が滞っている人には、4つの債務整理方法の中でも「任意整理」という方法を使う人が多いです。

任意整理なら整理する債務を選ぶことができるので、奨学金を整理の対象から外して他の消費者金融などからの借金だけ整理することも可能。これなら連帯保証人にも影響はありません。

弁護士や司法書士といった法律のプロに交渉してもらえるのも安心ですよね。

ただし奨学金の返済は、今まで通り続けなければならないので注意です。

自己破産以外の債務整理方法については次の記事で解説していますので、参考にしてください。

えーっ、奨学金も任意整理の対象にして、少しでも借金を減らしたいんだけどなぁ。無理なのかな?
奨学金も任意整理の対象にした場合、「将来の利息はカット、ただし原則3年間で返済を終わらせる」ということになっちゃうの。

今より返済額が大きくなってしまう可能性が高いし、奨学金は任意整理の対象にしないほうがいいわよ。

奨学金を返せない人の現状!返還義務を知らない人も多かった

奨学金を返せない場合、返還の負担を軽減できる制度があるんだね!

ところで奨学金を返せない人って、実際どれくらいいるんだろう?

日本学生支援機構の行なった調査を見てみましょう。

独立行政法人日本学生支援機構は、奨学金を払えない人の属性を把握し、奨学金回収に役立てることを目的として「平成25年度奨学金の延滞者に関する属性調査」を行いました。

平成25年度現在の奨学金返還状況は、次のとおりです。

平成25年度の奨学金返還状況
返還を要する人の債権 3,424,000件
返還している人 3,090,000人
1日以上の延滞債権 334,000件
3カ月以上の延滞債権 187,000件
※日本学生支援機構調べ

3カ月以上奨学金を払えていない人(延滞者)は、約19万人いるとの結果が出ています。

こんなに多いんだね!そういえばテレビ番組でも、奨学金を払えない人が多くなっていることを取り上げているのを見たなぁ。
しかも奨学金の貸与手続きを行った後に「返還義務がある」と知った人も、延滞者には多いのよ。
奨学金の返還義務を知ったタイミング
手続き前・手続き中 手続き後
延滞者 2,653人
(66.3%)
1,348人
(33.7%)
無延滞者 2,417人
(96.4%)
91人
(7.5%)
※日本学生支援機構調べ
こんなに多くの人が、奨学金の返還義務を知らずに手続きしちゃってたんだね!
そうなの。さらに同調査で、延滞者の中には「延滞督促を受けるまで返還義務があることを知らなかった」という人が377人(9.4%)いたことも分かっているわ!
「そもそも返還義務があることを知らなかった」というのも、奨学金を返せない理由のひとつと考えて良さそうだね。
「奨学金」という言葉は聞き慣れているし、多くの人が利用しているから、「教育資金を借金している」という自覚が薄い可能性もあるわね。
奨学金を返せない理由は「収入が減った」「本人の収入が低い」という人が多いです。しかし返還義務があることを知っていれば、延滞せずに済んだ人もいるのではないでしょうか。

では次の章で、奨学金を返せないとどうなるか見ていきましょう。

返済できないと給与差し押さえ・ブラックリスト入りの恐れがある

奨学金を返済できない人が多いことは分かりましたが、奨学金を返済しないままでいると一体どうなってしまうのでしょうか。

延滞金がどれくらい加算されるのか、またどのくらいの期間延滞すればブラックリストに載ってしまったり、給与が差し押さえられたりしてしまうのか、詳しく紹介します。

奨学金を延滞すると、延滞金が発生して督促が始まる

クレジットカードで支払期限が過ぎた場合、延滞した日数に応じて延滞金が加算されてしまうことはご存知ですよね。

奨学金についても同じように、返済期限が過ぎると延滞金が発生するんです。

延滞金については、第一種奨学金と第二種奨学金、また貸与終了年度によって利息が異なりますが、延滞している割賦金に対して2.5~5.0%の延滞金が加算されます。

そして借り入れした本人と保証人宛に、日本学生支援機構(もしくは債権回収代行会社)から、書面か電話で返済の督促が来ます。

返済をうっかり忘れていた場合や、手違いで口座の残高不足だった場合は、督促というよりも確認のための連絡というニュアンスなので心配はありません。

しかし返済の目処が立たないという場合は、「いつまでに払えるか」と約束を取り付けられるケースも多くあります。

督促の電話がかかってくるのは、基本的に自宅です。

しかし複数回掛けて繋がらない場合は、日本学生支援機構に届け出している本人の職場にかかってくることもあります。

さらに督促の連絡は保証人にも。奨学金を借りる場合、多くは親や身内に連帯保証人になってもらっているはずです。

ある日突然、親元に督促の連絡が入ってしまう可能性があるので、返済が滞ってしまったら保証人とは密に連絡を取るようにしておきましょう。

督促に応じなければブラックリスト入り!訴訟、強制執行も

督促に応じず、3ヶ月以上延滞を続けていると個人信用情報機関に事故情報として登録されてしまいます。

いわゆるブラックリストに載ってしまうということです。

ブラックリストに載ってしまうと登録された事故情報が消えない限り、ローンが組めなくなったり、クレジットカードが作れなくなったりと、お金の借り入れができなくなってしまいます。

ブラックリストに載ることの弊害や、事故情報の登録期間については、次の記事で詳しく解説しているので参考にしてくださいね。

さらに9ヶ月以上の長期間延滞を続けると、日本学生支援機構の顧問弁護士名義で期限付きの督促状が届きます。それでも期限までに返済がされない場合には、訴訟を起こされることに。

今まで何度も督促して返済がなされなかったという事情があるため、裁判ではいくら借金が残っているのか明確にすると同時に、日本学生支援機構側に「借金を取り戻すために差し押さえをしていいですよ」という判決が出ます。

この判決が出ると、日本学生支援機構(もしくは債権回収代行会社)は延滞者の財産をいつでも差し押さえ(=強制執行)することが可能です。

差し押さえられるものは、家や土地などの不動産や、家財道具など挙げることができますが、基本的には一番手堅い給料が差し押さえられるケースが多いです。

このとき、督促にかかった費用や裁判費用も延滞者負担となるため、差し押さえの段階まで来ると、本来の返済額にかなりの金額が上乗せされて請求されます。

強制執行については、連帯保証人の給料や不動産、生命保険などに対しても延滞者と同時に行われることも。親や身内に迷惑をかけないためにも、きちんと返済しなければなりません。

奨学金を返せないと訴訟の恐れも!対処は早めに

奨学金を返せないと延滞金が上乗せされるだけではなく、最悪訴訟が起こされ、給与などの財産が差し押さえられてしまう可能性もあるため注意が必要です。

日本学生支援機構では、減額返還や返還期限猶予など、奨学金を返せない人への救済措置も行なっています。

申し出が認められれば、返済期限を延期してもらえたり、毎月の返済を減らしてもらうことが可能です。早いうちに対処できれば、返還の負担も減りますよ。

また返済猶予制度の申し出が認められない場合や、他の借金で奨学金が返せない場合は、弁護士や司法書士に相談して債務整理を検討しましょう。

ただし債務整理をする場合、奨学金の返済義務は連帯保証人に回ってしまいます。連帯保証人になってくれた親や身内に迷惑をかけてしまう可能性があることを忘れないでくださいね。

※記載されている内容は2017年11月現在のものです。

おすすめ記事だよー

閉じる
閉じる