身内が亡くなり「葬儀費用がない」「葬儀代を支払えない」となった場合、落ち着いて対処できる人は少ないでしょう。
葬儀は故人とお別れするための大切な儀式。故人の希望に沿って行いたいですよね。
この記事では葬儀費用がないときの対処法として、大まかに次のような内容をお伝えします。
- 葬儀の形式(プラン)によっては価格が安くなる
- 葬儀会社によっては、「現金一括」以外の方法で葬儀費用を支払える
- 葬儀ローン申込はフリーローンやカードローンと比べてから
- 国や自治体からの給付金も利用できる
葬儀費用の全国平均は約200万円!形式により相場は異なる
葬儀費用がない人のなかには「そもそも必要な葬儀費用がいくらなのかも、よく分からない」という人もいるのではないでしょうか。
用意すべき金額がわからないと、不安も大きくなってしまいますよね。
一般社団法人 日本消費者協会の「葬儀についてのアンケート調査」報告書によると、2017年1月現在、葬儀費用の全国平均は195.7万円。
葬儀に必要な各費用の相場は、次のとおりです。
費用 | 相場 |
---|---|
通夜からの飲食接待費 | 約34万円 |
僧侶へ支払う謝礼※ | 約45万円 |
葬儀一式費用(プランごとの費用) | 約122万円 |
ただし、この数字はあくまで平均。葬儀の場所や宗教などによって、葬儀費用は異なります。
しかし故人の希望によっては、葬儀の形式で費用を抑えることも可能です。次の項目で詳しく見ていきましょう。
葬儀費用は形式によって違う!故人の希望を尊重しつつ検討しよう
葬儀の形式には、基本的に次の5種類があります。
葬儀 | 内容 |
---|---|
一般葬 | 職場の人や友人なども参列する |
家族葬 | 近親者だけで葬儀を行なう |
自宅葬 | 故人の自宅で葬儀を行なう |
一日葬 | お通夜なしで、告別式から火葬までを1日で行なう |
直葬 | 基本的に火葬のみを行なう |
では形式によって、葬儀費用にどれくらい差が生じるのでしょうか。葬儀社によっても料金は異なりますが、ここではイオンライフ株式会社の葬儀プランを例に見てみましょう。
葬儀 | 費用 |
---|---|
一般葬 | 698,000円(税込) |
家族葬 | 498,000円(税込) |
自宅葬 | 398,000円(税込) |
一日葬 | 348,000円(税込) |
直葬 | 198,000円(税込) |
これらの葬儀プラン料金に、料理や返礼品、本位牌、四十九日など必要なサービスを追加した合計金額が「葬儀費用」となります。
一日葬や直葬は、一般葬にくらべて小規模なため葬儀費用も安いです。
しかし次のような場合、追加料金や負担額が増え葬儀費用が高くなる可能性もあります。
- 香典の辞退
- 参列者数が多い
- 霊柩車の移動距離が長い
参列できなかった知人が各々訪問してくるので、対応が大変
死亡したことを知人に知らせなかったことで、トラブルになりやすい
故人の希望を尊重しながら、葬儀会社と相談して決めましょう。
葬儀費用の支払い方法【クレジットやローン支払いも可能】
葬儀費用は現金の手渡し、または一括振り込みで支払うのが一般的です。
また多くの場合、支払いは葬儀が終了してから約1週間のあいだに行います。葬儀会社によっては、依頼する際に一部費用の支払いを請求される場合も。
「葬儀用の現金をすぐに用意するのは難しい」という場合は、現金以外の支払い方法が可能な葬儀社を利用するのも対処法のひとつです。
「故人が亡くなる前に、葬式をする予定の葬儀社を決めていた」という人は、その葬儀社で利用可能な支払い方法を確認してみましょう。
それぞれの支払い方法について説明します。
葬儀費用がないならローンで分割払いも検討する
先ほども説明したように、葬儀費用の全国平均は約200万円。これを一括払いするのは難しい人も多いですよね。その場合は、ローンで葬儀費用を借りるのがおすすめです。
葬儀社で取り扱っている葬儀ローンを支払い方法として勧められることもありますが、必ずしも低金利とは限りません。
申し込む前にフリーローンやカードローンとも金利比較しておくと、より低金利でお得に葬儀費用を用意できます。
とくに信金やろうきんのフリーローンは全国的に金利が安いので、葬儀ローンとよく比較してから申し込みましょう。
葬儀費用がない場合にローンでお金を借りる方法については、次の記事で詳しく解説しています。参考にしてください。
分割払いは毎月の負担が減りますが、「利息がつく」というデメリットもあります。低金利なローンを選び、総返済額が高くならないよう注意が必要です。
クレジットカードで葬儀費用を払える葬儀会社もある
「今すぐ支払える葬儀費用がない」という人は、クレジットカードでの支払いを検討してみましょう。
足りない葬儀費用の金額によっては、クレジットカードの引落とし日までに葬儀費用を全額用意できる可能性もあります。分割払いにすれば、支払いの負担を減らすことも可能です。
支払い日によってはコンビニ後払い決済
「コンビニ後払い決済」に対応している会社もあり、葬儀終了後に請求書が届き、支払い期日までに多少時間ができます。
葬儀社と提携して葬儀を行なう会社「シンプルなお葬式」のコンビニ決済を例に見てみましょう。
支払い期限 | 請求書が発送されてから14日以内 |
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利用限度額 | 累計残高で300,000円(税込)※ |
手数料 | 216円(税込) |
プラン料金が利用限度額を超える場合は、コンビニ決済を利用できません。葬儀プランの料金が安い人におすすめです。
国や自治体から葬儀費用を受給する方法もある
次のような場合は、国や自治体から支給してもらえる葬儀費用を確認しましょう。
該当する項目を選択すると、詳しい説明部分へ移動します。
1、国民健康保険の加入者が亡くなった場合
国民健康保険に加入していた人が亡くなった場合、葬祭費を支給してもらうことが可能です。その金額は市区町村によってさまざま。
葬儀費用を受給するための手続きは、葬儀(告別式)をした日から2年以内に行なってください。
役所の国保担当部署で受け付けてもらえます。
ただし葬式(葬祭)をしない「直葬」の場合は葬祭費が出ない恐れもあるので、事前に確認しておきましょう。
2、社会保険の被保険者または被扶養者が亡くなった場合
社会保険の被保険者または被扶養者が死亡した場合、「葬儀をするかしないか」に関係なく埋葬料が支給されます。
協会けんぽの場合は、次のような費用を受給することが可能です。
- 霊柩車代
- 霊柩運搬代
- 霊前供物代
- 火葬料
- 僧侶への謝礼
手続きに必要な申請書は、協会けんぽ公式サイトからダウンロードしてください。
3、後期高齢者医療制度の加入者が亡くなった場合
後期高齢者医療制度の加入者が亡くなった場合も、親族が自治体から葬祭費を支給してもらうことができます。
手続きは、役所の後期高齢者医療担当部署で行ないましょう。申請期限は葬儀を執り行なった日から2年以内です。
この他にも、家族が亡くなったときに国や自治体から受給できる葬儀費用があります。詳しくは次の記事で紹介しているので、参考にしてください。
故人の預金や死亡保険金で葬儀費用を払うのは難しい
「故人の預金や死亡保険金を、葬儀費用として使えるのでは」と思う人もいますが、これらのお金をすぐに使うことはできません。
その理由を見ていきましょう。
故人の預金口座は凍結され、引き出すのに時間がかかる
預金口座は、名義人の死亡により凍結されます。これは金融機関で義務付けられていることです。
凍結された預金口座からお金を引き出すのが難しいのには、次のような理由があります。
- 相続人全員の同意が必要
- 手続きに時間がかかる
また故人の預金口座からお金を引き出す際は、次の書類を提出する必要があります。
- 戸籍謄本(※1)
- 除籍謄本(相続人全員分)
- 改製原戸籍等(相続人全員分)
- 印鑑証明書(相続人全員分)
- 払戻請求書(※2)
- 遺産分割協議書
※2:相続人全員分の署名・実印が必要
死亡保険金は即日受取できる可能性が低い
故人の預金と同じく、故人の死亡保険金もすぐには受け取れません。
死亡保険金が支払われるのは、保険会社(本社)に請求書類が届いた日の翌日から5~7日。
しかし、さらに日数がかかってしまう場合もあるため、葬儀費用の支払い日に間に合わなくなる恐れがあるんです。
もし故人が入っていた生命保険で即日支払いができるか、確認してみて。
葬儀費用がない場合は葬儀プランや支払い方法、給付金制度を確認!
あまりにも急で葬儀費用がない場合は、低金利なローンで葬儀代を借り入れするのも方法のひとつです。
国や自治体から葬儀費用を受給する場合は申請期限に注意してください。
支払い期限の延長など、葬儀費用がない人への対応を行なっている葬儀会社もあります。どうにもならない場合は相談してみましょう。